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ここは──何処か知らない空間。
私の知らない場所だった。
まるで周りに宇宙が広がっているような、そんな場所。
テレビで観たことがある宇宙空間を彷彿とさせる。
右を見ても、左を見ても、薄暗い。
そんな場所に、私はポツンと一人で立っている。
足場はない。
ただ、立っているのは事実。
ハッとして目を開く。
振り返ると、目の前に謎の小さな部屋が一つ出現していた。
真っ白い箱のような小さな部屋。
真ん中に真っ黒な扉があって、ドアノブが付いている。
何もないこの場所に、たった一つだけある白い部屋。
それはまるで、〝入れ〟と言わんばかりの雰囲気を放っていた。
──入ろう。
今は、選択肢がそれしかない。
私はドアノブに手をかける。
この先に何が待っていようと、全て受け入れる。
握ったドアノブを右へ回転させ、扉をゆっくりと押した。
──開かない。
ドアの隙間からは光が溢れている。
中は明るいのだろう。
しかし、開かなかった。
直ぐそこなのに。
目の前なのに。
何度も何度も扉を押し込む。
《ツンツン》
不意に後ろから誰かに肩をつつかれる。
ひやぁっとだらしない声をあげ、振り向いた。
女神様──。
直ぐに分かった。
この世の理を知るモノ。
この世の法則を知るモノ。
この世の道理を知るモノ。
この宇宙を創造し総括する、根本たるモノ。
女神様は片手を口元に当て、少し笑う。
私は緊張して、固唾を飲み込んだ。
そして、私をまじまじと観察した後、口を開いた。
「この扉……、ひ・き・ど♪」
「……へっ?」
これが、女神様との出会いだった。
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