0.プロローグ

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ここは──何処か知らない空間。 私の知らない場所だった。 まるで周りに宇宙が広がっているような、そんな場所。 テレビで観たことがある宇宙空間を彷彿とさせる。 右を見ても、左を見ても、薄暗い。 そんな場所に、私はポツンと一人で立っている。 足場はない。 ただ、立っているのは事実。 ハッとして目を開く。 振り返ると、目の前に謎の小さな部屋が一つ出現していた。 真っ白い箱のような小さな部屋。 真ん中に真っ黒な扉があって、ドアノブが付いている。 何もないこの場所に、たった一つだけある白い部屋。 それはまるで、〝入れ〟と言わんばかりの雰囲気を放っていた。 ──入ろう。 今は、選択肢がそれしかない。 私はドアノブに手をかける。 この先に何が待っていようと、全て受け入れる。 握ったドアノブを右へ回転させ、扉をゆっくりと押した。 ──開かない。 ドアの隙間からは光が溢れている。 中は明るいのだろう。 しかし、開かなかった。 直ぐそこなのに。 目の前なのに。 何度も何度も扉を押し込む。 《ツンツン》 不意に後ろから誰かに肩をつつかれる。 ひやぁっとだらしない声をあげ、振り向いた。 女神様──。 直ぐに分かった。 この世の理を知るモノ。 この世の法則を知るモノ。 この世の道理を知るモノ。 この宇宙を創造し総括する、根本たるモノ。 女神様は片手を口元に当て、少し笑う。 私は緊張して、固唾を飲み込んだ。 そして、私をまじまじと観察した後、口を開いた。 「この扉……、ひ・き・ど♪」 「……へっ?」 これが、女神様との出会いだった。
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