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たった今、親友に裏切られた。
場所は放課後の教室前。
中学三年生になって初めて友達が出来て、私は凄く嬉しかったのに。
放課後、忘れ物を取りに教室まで戻ってきた時だった。
教室の扉に手を掛けたとき、中から声が聞こえたんだ。
「響音。あんな子と仲良くしてさ……また裏切る気でしょ? 名前は何て言ったっけ……。そう、奏ちゃん?」
私の名前は奏。
内気で誰とも話さないような人間。
響音とは、さっき言った私の親友だ。
「裏切る? 奏を?」
「そうそう。小学生の時はあんたいつもそうやって裏切ってたじゃん。虐めっ子だったでしょ?」
「……」
頭が真っ白になった。
いつでも明るく声をかけてくれて、一緒に遊んだりした。
それなのに。
なんだ、それ。
「それにさ、あの子喋らないし暗いじゃん。そもそも響音アニメとか興味ないっしょ? あの子〝魔法少女〟とか好きみたいだけど。鞄にいっぱいつけてんじゃん」
毎週観る魔法少女のアニメについてよく話していた。
響音も観ているようで、いつも会話が弾んでいたのに。
それさえも偽りだったのだろうか。
私は扉にかけた手を静かに下ろした。
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