3.華の都とペペロンチーノ

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何かしらの行動を起こさなければならない。 なんでもいい。 「あ、あのっ……!」 私は小さく叫んだ。 「ここのペペロンチーノ、美味しいですね! すごく美味しい……!」 小さな脳みその引き出しからようやく絞り出した言葉がそれだった。 咄嗟にでたのがペペロンチーノの感想。 「あ、ありがとうございます……」 頬がほんのり赤く染まり、れみは少し照れたように俯く。 「また、食べに来たいな!」 私は思わず笑顔になった。 するとその瞬間、れみの表情が曇った気がした。 いや、気のせいじゃない。 今度は悲しげな表情で、さらに下を向いていた。 何かまずい言葉を口にしたのだろうか。 "また食べに来たい" それは店員にとって一番嬉しい言葉ではないか。
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