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少し前、ボクは犬だった。
ボクは飼い主のナオちゃんのそばで、その息を引き取った。
そしてまたボクは、犬として新しい生を受けていた。
でも、飼い主はナオちゃんじゃない。ナオちゃんじゃないと、嫌だ。
今の飼い主さんの言うことなんて聞きたくなくて、反抗ばかりしていたら、捨てられてしまった。
これで、ナオちゃんを探しに行ける!
ナオちゃんにまた会いたい。
その一心で、見覚えのある街を走り回る。
走ってた時に気付いたんだ。
ここが、ボクが15年間過ごした街だったってことに。
ナオちゃんの家までひとっ走り。
そしたら、ナオちゃんが出てきた。ナオちゃん!
走っていくと、ナオちゃんがボクに気付いてくれる。
「ナーチ?」
泣きそうな、嬉しそうな、そんな声でナオちゃんは言う。
ボクだって気づいてくれたことが嬉しくて、ついついしっぽを振って、鳴き声をあげた。
「わん!わんわん!」
「ほんとに、ナーチだ。ほん、とに……」
ナオちゃんは本格的に泣き出してしまう。
「わんわん?」
そういったとたん、ナオちゃんに抱きしめられる。
ちょ、苦しいって、こちょがしいって!でも、とっても嬉しいな!
また会いたかったから。
ずっと会いたかったから。
ほんとに、来世もナオちゃんと一緒になれた!
嬉しい以外の言葉が見つからない。
ボクは、幸せ者だなぁ。こんなに幸せでもいいのかなぁ。
「会いたかった。会いたかったよぉ。ナーチ……」
ボクにも涙があればいいのになぁ。
泣いているナオちゃんを見ながら、そんなことを思う。
「また一緒に居ようね?」
「わん!」
そしてボクは、ナーチとしてまたナオちゃんの家の一員になれたんだ。
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