……第二章:玲瓏院結界……

3/10
43人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
 ――刻印とは、吸血鬼が餌である人間に対して行う行為だ。  人間の血に、己の血液を混入させる事で、明確に自分の餌であると周囲に主張する行為であるとも言える。刻印は、一人の対象にしか行う事は出来無い。よって今回であれば、玲瓏院縲が死ぬまでの間、夏瑪夜明は、縲以外から吸血する事は出来なくなった。縲の側も夏瑪以外には提供不可能だ。  血液だけではない。吸血鬼の餌には、体液も含まれる。夏瑪は縲以外とSEXできなくなったが、それは縲も同じである。縲は全てを夏瑪に提供しなければならない状態となったのだ。死ぬまでの間。  人間の一生は、長い。尤も吸血鬼から見れば短いが。  だが、そういう意味合いではなく、『用済みになったら喰い殺す為』、刻印しても問題が無いというのが、刻印をする場合の吸血鬼の多くの見解だ。  しかし縲はエクソシストであるから、性行為を行えば――率直に言って、挿入するかされるかすれば、力を喪失する事になる。だが刻印により混じり込んだ夏瑪の血液が、体に灼熱をもたらす。それは同時に、縲の霊能力も高めるが、元々実力のあった縲には、さほど大きな変化とはならない。 「……ッ」  目を開けた縲は、鎖が軋む音を聞いた。全身が熱い。呼吸をするだけで、指の先端までをも灼熱が巡る。虚ろな視線を動かして、相変わらず己が拘束されているのを、縲は確認した。勃起したままであり、陰茎の先端からは透明な雫が溢れている。 「目が覚めたかね?」
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!