第一章

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「……朽葉さん。何の用ですか?」 ベッドに寝転がる私の上から、異様に美しいその人が覗き込む。 「柘榴」 「……はいはい。わかりましたってば」 有無を言わせないその冷たい眼差しには、すっかり慣れっこだ。 私が少しでもいじけたり、不満気な様子を見せると、朽葉様は非常に不機嫌になってしまう。 「はあ……」 暫く無言で見つめ合っていると、またしても大きな溜息を一つ落として、私を起き上がらせてくれた。 「……リビングに行っています」 「ああ。コーヒーを用意して、」 「もうしています」 「……はい」 朽葉さんの言葉を制してさっさと寝室を出ると、コーヒー豆の香ばしい香りに包まれる。 「今朝の卵焼きは上手に出来たのに……」 今日も大きなダイニングテーブルに並ぶ二人分の食事には、私しか手をつけることはない。
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