2/6
前へ
/329ページ
次へ
「そうそう、千春ちゃん。年末年始もうちで働いてくれてありがとう。少しだけど僕からの気持ちだよ。受け取ってくれるかな?」 マスターの手に握られていたのは、小さなピンク色のポチ袋。 「え、これって……」 「お年玉だよ。これで何か美味しい物でも食べたらいい。あ、今時の女の子は化粧品とかを買うのかな?」 「マスター!毎年美味しいお節までご馳走になっているのに、お年玉まで頂くなんて……」 「気にしない気にしない。君はもう娘みたいなものなんだから。今年も宜しくね」 「……はい。ありがとうございます」 目にじわりと滲む涙を誤魔化すように、ぎゅっとポチ袋を握り締める。
/329ページ

最初のコメントを投稿しよう!

135人が本棚に入れています
本棚に追加