これが恋と知ってしまったんだ

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4月。 それは出会いの季節。 「よし!」 1人の少女が新しい制服に身を包み、玄関の鏡で自分の姿をチェックする。 「うーん、もうちょいスカート短くてもいいかなー。」 少女は金色の長い髪をなびかせながら、膝の上15cm程になるまでスカートの裾を上げる。 「なずな!早く行かないと遅刻するわよ!」 「分かってる!でもほら、やっぱ最初は可愛くしてかないと!」 なずなと呼ばれた少女は腰にベージュのカーディガンを巻きリュックを背負う。 「じゃあいってきまーす!」 なずなが家を出ると、玄関の前に1人の少女が立っていた。 「ありゃ?あざみ?」 あざみと呼ばれた少女はなずなが家から出てきたことを確認すると、そのまま歩き出す。 「待ってよあざみー!」 なずなはあざみを追いかけ、横に並ぶとニコニコしながら一緒に歩く。 「おはよー!あっざみー!」 「おはよ。朝から元気だねなずなは。」 「へへー。ほら、今日から高校生じゃん?テンション上がるじゃん?」 「そう?」 「やっぱ高校生活ってキラキラしてんのかなー!」 「さあ?」 「クラス一緒だといいね!」 「そうね。」 桜舞う川辺を歩きながらそんなことを話す2人は、これからどんな運命が待ち受けているかなど知るよしもない。
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