白の恐怖

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「おかあちゃん、起きて、起きて」  娘の初枝が呼ぶ声で、いつの間にか居眠りしていた美紀子ははっと目を覚ます。目の前が真っ白だ。 「きゃー! どうしよう! わたい、失明してもうたー! 目の前が真っ白やー!」  美紀子はパニックになり、がばっと起き上がる。 その瞬間、真っ白な空間を切り取ったように視界の一部が開け、見慣れた茶の間が見えた。  美紀子は恐る恐る自分の顔に手をやる……眼鏡のレンズに、白い紙が貼られていた。 「初枝ー!」  いたずら好きな子どもを持つと苦労が多い。
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