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でも、あたしはそういうことを一切わからない一般市民だ。
だからこんな仮彼女なんてよくわからないもの投げ出してしまいたい。
それなのに、あたしはいま触れられている手の温もりをずっと感じていたいだなんて思っている。
そんなことが許される立場になんかいないって分かっているのに。
今は、おじいさんがあたしのことを気に入っているからここにいられるけど、将来結城くんが一緒になるのは一花さんのような方だってことはわかってる。
それでも今だけはって思うなんて、たった5日間でなにをあたしは絆されてしまっているのだろう。
「夏果ちゃん、ドレス凄い似合っているじゃないか！」
結城くんと一緒にやってきたあたしに、おじいさんが笑顔を見せてくれる。
色々と不安に駆られているなか、今の救いはおじいさんのような気がする。
「ありがとうございます」
「これは凛斗のブランドの服か。あいつも本当にすごい男だな」
「うん、そうだね。凛斗の服は本当にすごいと思う」
普段辛口を叩いているときの話し方とは全然違う。
本人を前にしてはいえないげ、本当に尊敬しているからこそ出るのだろう。
「あんただって言ってないのに、あんたを想像して持ってきたってのが気持ち悪いけどね」
「はは、なんであたしだったんだろうね」
「俺たちにとってあんたは、ほかとはやっぱり違うから」
「.......え？」
住む世界が違うと言っているように聞こえる言葉に、ぐっと胸がつまる。
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