74人が本棚に入れています
本棚に追加
「じいちゃん、俺には一花(いちか)と結婚しろって昔から言ってるじゃん。なに、急に.......しかも普通科とかありえない」
「気に入ったんだよ!この子が!家のためなんかよりやっぱり冬翔の幸せを考えないとだな!」
「俺の幸せを考えるならもっとセンスのいい子にして欲しいよね」
この人は随分と正直者なようで、本人が隣にいるというのに辛辣だった。
「この子となら、冬翔が幸せになれると思ったんだ!決めたぞ、俺は」
「.......はぁ」
どうやらこの家長はこうと言ったら譲らないタイプらしい。
そんな性格を分かっているのか、結城くんもそれ以上反論しようとはしなかった。
「はっはっは。とりあえず若いもの同士、部屋で話してこい」
結城くんが反論できないことがわかったのか、豪快に笑って立ち上がりリビングを出ていった。
「最悪.......」
「あ、あの.......?」
「はぁ、とりあえず行くよ」
あたしを見ることもなく立ち上がって廊下へと向かう。
「.......え?」
「はやく。あんた俺の部屋わかるわけ?」
「あ、はい.......」
言われた通りに部屋にいくらしく、ちらっとあたしを見る。
「はやくしてよね。はぁ、本当に最悪」
不機嫌さは消えないままの彼の隣を歩いて部屋へと向かう。
最初のコメントを投稿しよう!