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「それは冬翔の普段の態度だろ。自業自得」
クスクスと煌大くんが笑う。
「.......っ、そんなことないし」
煌大くんにまで笑われて、ふいっと顔を背ける。
「で、でも素直に座ってくれてあたしは嬉しかったから.......」
「.......は?」
思わずポッと出てしまったあたしの言葉に、目を丸くして持っていたペンを落とした結城くんに「しまった」と思うけど、言った言葉の取り消しはもうできない。
「おっと、夏果ちゃん.......そんなこと言うと冬翔には刺激が強いから」
「.......へ?しげ.......?」
そんな刺激の強いことを言ったつもりはなかったので、目をぱちくりさせてしまう。
「バカ凛斗。刺激ってなんだよ」
凛斗くんの言葉に結城くんも「おかしい」と感じたのか彼の頭を軽く叩く。
「女の子の経験に疎い冬翔には刺激が強い言葉でしょ?」
「.......っ、うるさいな。そんなことないって。凛斗の言うことは気にしないでよ」
あたしに向き直り困った顔になる。
「わかってるよ。凛斗くんの言うことの半分は嘘だって言ってたもんね」
「聞き捨てならないなぁー。俺は本当のことしか言ってないのに」
刺激が強いとかそんなことはどうでもいいけど、結城くんとはほんの少しの期間一緒にいただけで、すごく表情が豊かになってくれているので、心を開いてくれているということだけはわかる。
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