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「待ってよ、冬翔くん!なんで普通科の子とつるんでるの!?」
納得いかなかったらしく、バタバタと大きな足音で追いかけてきた。
「今更じゃない?凛斗は生徒会でとっくに絡んでるよ」
「結城くんはあたしたちともまともに話そうとしないじゃない!」
振り向いた先にいた彼女は悔しそうに唇を噛んでいた。
「彼女と仲良くして何が悪いのか、俺にはわかんないだけど」
「.......っ、彼女!?」
空いた口が塞がらないという様子の彼女。
「ゆ、結城くん.......」
さすがにここで「彼女」だと公言するのはまずいのではないかと彼の制服を引っ張る。
「こうでも言わないといつまでも普通科がどうだ言うよ。この人」
「だからって.......」
明日から先のあたしの学校生活を思うとため息が出る。
「なに、そんなに俺の彼女って言われるの嫌なわけ」
「そういうわけじゃないけど.......!」
でも、あたしたちはいつか終わる仮の関係なわけで。
別れたことにした場合、何を言われるのか想像しただけで怖い。
現段階だって、学内で王子様扱いされている結城くんだからどうなるかが怖い。
「心配しなくても俺がちゃんと守る」
「.......え?」
こんな言葉が結城くんから出てくるなんて思ってもいなかった。
だって、素直に言うことなんてきっと一生ないと思ってたから。
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