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「持ってきちゃったけど.......」 自分のカバンの中にある他のものとは違うラッピング。 「夏果ー、ハッピーバレンタイン!」 「あさひ、ありがとう」 今日はバレンタインデー。 去年から恒例のクラスの女の子たちで友チョコを渡し合っている。 「ねぇ、この他とは違うのって結城くん?」 「.......うん」 「きっと喜んでくれるよ」 ポンポンっとあたしの頭を撫でる。 「まずは渡せるか.......」 きっと結城くんにはたくさんのチョコが集まっているだろうし、スペシャリスト科の女の子たちがあげるどのチョコよりあたしのチョコは劣るだろう。 「夏果のは手作りでしょ?どのチョコよりも最高に決まってるじゃん」 「あさひ.......」 あさひはあたしの考えが分かるかのようにニコッと笑う。 「でもやっぱりスペシャリスト科の子たちのチョコは高級なんでしょ.......」 「まぁ、そりゃそうだろうねぇ」 「そもそも普通とダサいが嫌いなあの人が、普通のチョコを食べるとも思えないよ」 「愛の籠った手作りは普通のチョコなんかじゃないから。自信持ってよ」 「.......うん、ありがとう。あさひ」 みんなに配るチョコも手作りだけど、明らかに結城くんに渡すものとは違う。 これを見て引かれないといいんだけど。 いざとなったら「仮彼女だしね」とごまかそうとすぐに弱気になってしまう。
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