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「おつかれ様ー」 こんなとこでいつまでも立ち尽くしているわけにはいかないので、思い切ってドアをあける。 「夏果ちゃん。お疲れー」 「おつかれ」 「あ、それはもしかしなくても俺たちへのチョコ?」 あたしの持っている紙袋にすぐに目がいく凛斗くんはさすがだ。 「うん。普段お世話になってるみんなに持ってきたんだ」 渡せなくなることもあろうかと、ちゃんと結城くんの分もみんなと同じチョコを用意してあった。 手作りではあるけど、みんなと同じくちょっとしたものだから。本命ぽいのにはならなくて安心した。 「やったー、ありがとう」 「ありがとう、ナツ」 「どうも」 三者三様の返事をして、受け取ってくれた3人。 「どうしたの?冬翔」 「なにが」 「なんでそんなに不機嫌そうなわけ?」 「べつにそんなことない」 凛斗くんに対してそう答えるけど、どうみても結城くんは不機嫌そのものだった。 「も、もしかして.......このチョコいやだった?」 結城くんの手のひらに乗っているチョコを指さす。 結城くんの嫌いな「普通」だし「手作り」だし、「本命ぽいの」ではなくても嫌なものは嫌なんだろうか。 「冬翔が夏果ちゃんからのチョコを嫌がるわけ.......「嫌だよ」 フォローをしようとした凛斗くんの言葉を遮って聞こえてきた結城くんのこたえ。
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