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「ていうか、あんた俺のこと知ってるようだけど誰?」 「えっと.......同じ高校なので」 「制服見ればわかる。でもそのタイは普通科だよね」 「普通科です」 あのエリート軍団の一員にいる結城くんの部屋にいるだなんて信じられないことが起こっている。 でも目の前の彼ははぁっとため息をついて心底憂鬱そうで、なんだかこちらが申し訳なくなってきてしまう。 「で?」 「え?」 「名前」 「京田夏果(きょうだなつか)です」 「あ.......」 あたしの名前を聞いた彼はなぜだか目を見開いた。 「どうかしました?」 「凛斗(りんと)からよく聞く名前だなって思ってさ」 「あぁ.......」 エリート軍団の一員である菅野(すがの)凛斗とあたしは同じ生徒会のメンバーだ。 結城くんと凛斗くんは幼なじみらしく、凛斗くんからもたまに結城くんのことが話題に出ていた。 「最近では煌大(こうだい)とも仲がいいらしいよね」 「煌大くんとも凛斗くんが繋いでくれただけで.......」 うちの学校はエリート軍団が集うスペシャリスト科と普通科に別れている。 そして、普通科は1クラスでスペシャリスト科は5クラス。 うちの学校の9割はエリート軍団。 でも、生徒会だけはスペシャリスト科と普通科の混合で1年生の頃からあたしは生徒会だったから、同じ生徒会の凛斗くんとは気心が知れた仲だったりする。
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