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「俺、仮でも一応彼氏なんだけど」
「うん.......?」
「なんでみんなと同じのなわけ?」
「.......え?」
結城くんの口からこんな言葉が出てくるなんて想像してなくて、唖然としてしまう。
「みんなと同じのを俺に渡して、それは誰にあげるわけ?」
表情からも声色からも全然感情が読み取れない結城くんだけど、いまの言葉からはヒシヒシと伝わってくる。
「みんなのと同じなのが嫌であんなふうに言ったの?」
「.......そうだよ」
照れくさいのかぷいっと顔を逸らす。
「ちょっと、言葉が足りなすぎるよ!結城くん」
「これが俺なんだから、慣れなよ」
「ええ.......」
なんて言いつつも、こんなふうに追いかけて来てくれたり、伝えてくれる結城くんにニヤニヤしてしまう。
「その顔、うるさい」
「顔がうるさいって失礼じゃない!?」
「うるさいものはうるさいの」
さっきまで嬉しいことを伝えてくれた結城くんとはもうまったく違うけど、でもやっぱり彼の裏に隠れた優しさにあたしは気づいてるから。
「あ、戻ってきたー」
生徒会室に2人で戻ったあたしたちをみて、凜斗くんは相変わらずニヤニヤしてる。
「ちゃーんと連れ戻したんだ?」
「凜斗が俺のせいでチョコもらえなかったとか言うからでしょ」
凜斗くんの言葉に頬を不貞腐れている様子の結城くん。
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