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「冬翔が自分の意思で追いかけたんだろ」
「やめてよね、煌大」
「いや、なかなかみない必死な冬翔だったよね」
「もう、やめてって」
煌大くんの言葉に追い打ちをかける凜斗くんの言葉。
結城くんの表情はどんどん赤くなっていくから、ただの冗談ではなさそうだ。
「あんたも顔がうるさいってば」
ふたりの会話から読み取れる、結城くんの本音を知れば知るほど、あたしの頬は緩んでしまう。
「あ、回収しちゃったものを返すのもなんだかあれだけど.......」
あたしは凜斗くんと煌大くんにあげる予定だったチョコを渡す。
「で、冬翔には?」
「.......こ、これを」
ついさっき「誰に渡すのか」と問われたチョコを結城くんの手に渡す。
「え、これ.......」
結城くんが目を丸くしている。
「へぇ、夏果ちゃん冬翔にだけ違うもの用意してたんだ?」
「.......っ、やっぱり仮でも彼氏なわけだし」
凜斗くんの目の前で渡したらこうやってからかわれるのがわかっていたから本当なら別の場所で渡したかった。
「へぇ、でも冬翔は本命ぽい手作りは食べないんだっけ?」
「まぁ」
「じゃあ、家の手伝いの人に渡るのは可哀想だし。俺が貰おうか?」
結城くんに向かって「ちょーだい」と手を差し出す。
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