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「頭に残ってたの。どうせあげるなら喜んでもらいたいし」
「よかったね、冬翔。冬翔のためだけに味も考えて作られたんじゃん」
「.......ありがとう」
あたしの方を向くこともなく、小さな声でボソッと呟かれたその言葉。
ほかの2人には聞こえてなかったみたいだけど、あたしの耳にはしっかり届いた。
「どういたしまして!」
だから、あたしはとびっきりの声と笑顔でそれに応えた。
「へ?冬翔、もしかして夏果ちゃんにだけ聞こえるようにお礼でも言った?」
「.......なっ、俺がそんなことするわけないでしょ」
「だよねー?でも、ここでチョコを食べること自体意外だったからさ。食べるとしても俺らには食べてないって言うと思ってたよ。ね、煌大」
「たしかにな、今日は知らない冬翔ばかり見れるな」
「煌大まで最近は凛斗みたくなってきてる.......」
はぁっとため息をつく結城くん。
「ナツと知り合ってからの冬翔、面白いから」
「どこがだよ」
「自分の知らない感情に振り回されてる様子?」
「凛斗には聞いてないし」
あたしと知り合ってからの結城くんが変わったというけど、それはいいことなのだろうか。
いい方向に変わったとみんなが思ってくれていたら嬉しい。
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