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「あれ、冬翔は?」
「........今日の日付なんて覚えない」
「相変わらずイベントごとには無頓着だよね」
はぁっと凛斗くんが呆れたようにため息をつく。
「いちいち楽しんでる凛斗の気が知れない」
「だって女の子たちからもらっんだもん。ちゃんとお返ししないとね」
「勝手にくれたんでしよ。だれも求めてない」
「........っ、勝手にもらったくせに」
「はぁ?ちょっと夏果俺に喧嘩売ってるわけ?」
「うるさい!結城くんのバカ!今日は帰る!」
結城くんの〝勝手にくれた〟はあたしにも当てはまっているような気がしてしまって、その場にずっとなんていられなかった。
だって結城くん、みんなのチョコ受け取ってなかったから。
「なにやってんだろ。バレンタインに引き続き」
結城くんはそんなイベントごとに興味なんてないことは知っていたし、お返しを期待していたわけでもない。
でもそんなふうに言われてしまっては悲しくなるのも当然だろう。
バレンタインは色々と勘違いが起こって逃げてしまったところを結城くんが追いかけてきてくれて。
でも、きっと今回は結城くんは何であたしが怒っているかなんて分からないだろうから、追いかけてきてなんてくれないんだろう。
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