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──あんた、うちに明日授業で使うもの忘れたんじゃなかった?明日困ってもしらないよ
家へ帰ろうと歩いているとそんなメッセージが結城くんから届いていた。
「そうだった........」
正直いまは結城くんに会いたくない。
でも、あれがないと明日の授業で困ってしまう。
さすがに明日持ってきてもらって、スペシャリスト科の方まで行くのは無理だ。
「しょうがない........行くか」
気が進まなかったけど〝今から行きます〟と返事をして、結城くんの家へと向かうことにした。
あんな風に怒って生徒会室を出たというのに、結城くんは気にした素振りもなくて、本当に他人無関心なんだなと感じる。
普通自分が悪いと思っていなくても、なんで怒っているのかくらいは気になるもんでしょ。
そういう感情が結城くんには欠落しているのかな。
「一花、はい。これ」
「冬翔、ありがとう」
「一花が好きそうなやつ、選んでみたから」
結城くんの家のチャイムを鳴らそうとしたとき、右側の角からそんな声が聞こえた。
「毎年一花へのお返し考えるの結構楽しみだったりするんだ」
「さすが冬翔。毎年のことながらセンスがいいよね」
曲がり角を覗いてみると塀に寄りかかる結城くんと貰ったものを開けて嬉しそうに笑う一花さん。
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