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「なんだ覚えてるんじゃん」 今日が何日かなんてわからないってイベントごとに無頓着そうな振りをして、一花さんにはちゃっかりとお返しをあげているんじゃん。 結城くんにとって一花さんが大事な女性だとわかってはいたけど、更に実感させられて胸が痛くなる。 「どうしよう........」 結城くんの家に来たはいいけど、当然あたしが用のある人物はこの家にはいない。 とりあえず用を済ませようとピンポーンと鳴らす。 「あら、夏果様。いま、冬翔様いないのですが中でお待ちください」 「ありがとうございます。........その夏果様っていい加減やめてください」 「いえいえ、冬翔様とお付き合いしているんですもの。そう呼ばないと冬翔様に怒られますわ」 「はは........」 この家によく来るようになり、お手伝いさんの顔は一通り覚えた。 そして、このお手伝いさん達はあたしのことを本当の彼女だと思っているので結城くんと同じように扱う。 ただの一般人にはなかなか耐え難い。 お手伝いさんに連れられて、当人のいない結城くんの部屋へとはいる。 「あ、あった」 明日の授業でつかう調理セットは結城くんの机の上に重ねられていた。 普通なら誰かに借りればいいんだけど、これだけはIDで管理がされていて自分のものを使わなくちゃならなくなっている。
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