第1章 再会

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水沢 疾風 私と同じ30歳 幼馴染で元カレだ 中学生の頃、私の家の隣に疾風家族が引っ越してきてから学校にも一緒に行き、勉強も一緒にしたりする仲だったが、いつしかお互いに恋していることに気付き始め、高校から付き合い始めた 疾風はモテる 運動も勉強もできるイケメンだ それに引き換え、私は地味で運動も勉強もそこそこ… でも大好きだった… ただそれだけ… それだけだったのに… 久々に見た顔は大人びていて、付き合っていた時より更にイケメンになっている そのカッコ良さに吸い込まれてしばらくの間ガン見している私 「結奈?どうした?」 「………あ、いや、何でも………」 「お前、変わってないな。今夜一緒に飲みに行かね?」 「………ほ、本日は……私用の予定がありますので……行けません!!」 私はそう言って、足早にデスクから離れトイレに駆け込む 「ハァ、ハァ、ハァ……」 これでもか!?ってくらい早く走ったので息切れが治らない 『な…何で疾風が…いるの!?いくらなんでも会社が一緒になる事なんてそうないよ…どうして?何で??……』 しばらく女子トイレに閉じこもり、息を整える ドキドキが止まらない 1分も経ってないのに、色んなことがあり過ぎて頭の中グチャグチャ… もうこんな所で時間潰してる場合じゃないのに!! そして、何も無かったかの様にトイレから出るとまたも驚かされる 「おい!結奈!」 「わー!!」 「お前声でけーよ」 「もうっ!そっちが驚かせるからでしょ!」 「ちょっと、こっち来て」 疾風に手を強引に引かれ、誰もいない休憩室に入る 「私、これから仕事が山積みなんですけど」 「いいじゃん、久々に再会したんだしさ。」 自販機で2本の缶コーヒーを買って私に1本渡してくる疾風 「ん、やる」 「あ、ありがとう……じゃない、何でここにいるの?」 「たまたま?」 「たまたまでこんなんあるか!」 「ぶふぁっ!!お前昔から変わってないな、だから好きなんだよなぁ、俺」 「何言ってんの?私帰るわ」 いい歳こいて素直になれない、ツンデレの私 休憩室を出る際、疾風が言った 「俺、お前と別れたつもりないからな」 黙ってその場を離れたが、顔が熱い 多分鏡を見たらユデダコの様になってると思う でも何も無かったかの様に社内に戻り、仕事を始める 少し時間を置いて疾風も何も無かったかの様に戻ってきた 普通に仕事をして、昼休みに入る 美優が来た 「一緒に行こ、ランチ」 「うん、いいよ」 財布を持って外へ出る コンビニで弁当を買って、近くの公園のベンチに座り、食べながら話す 「結奈は、水沢さんと知り合いなの?」 「…ゴホッ!ゴホッ!」 いきなり美優からその話を出されビックリして噎せてしまった 「…もう…何?いきなり」 「えー、だって普通に「結奈」って呼び捨てだったよ」 「気のせいだよ」 「まぁいーけどさ、あんな彼氏いたら最高だよねー」 「え、美優は彼氏いるじゃん。先輩とはどーなってんの?」 「…なんか…別れそうかも…」 「はぁ?仲良くしてんじゃん、いつも」 「まぁ、いろいろあるんだよ…」 「まぁ、あれだけカッコ良かったらさー、いろいろ考えるよなー」 二人してしんみりしながら弁当を食べる そして無な時間を過ごし、会社へ戻る いつも私達二人はこんな感じで昼休みが終わる そして、仕事再開 疾風の事など考えないつもりで作業をこなして行くが…邪魔が入ってくる 「溝口さん、この後資料の件で話があるから会議室で打ち合わせしたいんだけど」 声を掛けて来たのは疾風だ… 「私、そんな打ち合わせする時間取れません 自分で間違ってるところが有れば直してください」 私も負けずに抵抗する すると私の耳元で疾風はこう言った 「お前に俺の命令断る権利なんてねーんだよ」 キーボードを打っていた手が止まる 苛立ちを感じながらも会社には迷惑を掛けたくなくて言われるがまま付いていく 会議室が近づくにつれてドキドキ感が半端ない どうしていいかも分からなくて、疾風の名前をつい呼んでしまう 「…疾風…」 「ん?」 「…あ!ごめんなさい 水沢部長…何でもないです…」 「あ、そ」 何も無かったかの様に歩いて会議室に向かう 私は何を聞かれるのか、いきなり別れた事とか変な想像をしてしまい、頭がゴチャゴチャしている 会議室の前に着く 疾風は鍵を開けて先に中へ入る 私はずっと廊下に立ちっぱなしでどうしていいのか分からなくなっていた すると疾風が私に近付き、手首を強引に引っ張る 「早く中に入れよ」 会議室のドアが閉められ鍵も掛けられしまう 「……私は疾風と別れたつもりでいるから…」 「はあ?」 「……私は疾風の事はもう好きじゃない…」 「……で?」 「私と疾風は住む世界が違うの…私は一人で充分やって行ける…疾風がいなくてもやって行けるから…」 「…お前、俺のせいでイジメにあってたんだろ…」 「…え?」 「なんで言わねーんだよ……なんで言わなかったんだよ!!」 疾風が壁越しにいる私に近付き、拳が私の顔の横を通過する 壁を思いっきり殴った拳が私の顔の右横にある状態 私はそのまま、座り込む… 「……疾風が……悪いんじゃない……全て私の弱さだから……疾風が悪いんじゃない!!全部私が悪いの!!」
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