第1章 再会

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翌日休みだった為、街を散策してからパチンコ店に入り、スロットを打つ 2、3000円使った所で当たりも出ないのですぐ出る 昨日からどうなってるのか心配になって美優にラインを送る 返事は帰ってこない もしかしたら今2人で今後どうするかとか話してるかもしれないから邪魔はしないでおこうと思い、家の近くのコンビニへ寄る お菓子やデザート類など色々カゴに詰めてレジに向かう 会計で小銭を出すのにモタモタしていると、横から1万円札が差し出された 疾風がいた 「俺が払うから」 嫌だったけど後ろにお客さんが待っていた為、お礼を言う 「…あ、ありがとう 後で払うから」 「いいよ、これくらい」 定員さんがお釣りとレシートを疾風に、そして品物が入ったレジ袋を私に手渡した 2人で店を出る 私は疾風から離れる だけど疾風が近付いてくる 「どうしたの?」 「会いに来たんじゃん」 「私は別に会いたくない、じゃーね」 ちょうど信号が青色になった横断歩道を渡ろうとした時、疾風は私の腕を掴んだ 「なぁ、ドライブ行かね?」 「はぁ?」 「結奈に見せたい所があるんだ 行こう」 「えー」 私の腕を掴んだまま、駐車場まで歩く 車にまんまと乗せられてしまい、不機嫌な私 疾風はそんな私を御構い無しに、車のエンジンを掛け、運転を始める 静かな車内で2人だったが、疾風が話し出す 「お前が10年前、突然姿を消した時はお前の事を責めてた自分がいた 『俺に何も言わず姿消しやがって』とか『いつか復習してやる』みたいな… でも、昨日お前と出会って昔と変わらない態度とか見てるとやっぱ俺ダメだわ しかもさ、江原の彼女の相談されててさ、俺も分かってやれてなかったのかなぁーって思った」 「まぁ、終わった事はいーじゃん 私は今1人がいい 疾風の事は好きだけど、もう過去の様になりたくないし疾風も早くいい人見つけて幸せになれば?」 ずーっと思ってて本当は一緒にいたい癖に素直になれない私… 「…俺はお前しかいないから お前が振り向くまで諦めない」 正直、嬉しかった もう泣きたい感じ ましてや胸に飛び込みたい感じ 私はなんて返していいか分からず無言になってしまった 1時間程運転し、ようやく目的地に車を停める ドアを開けて外を出ると、海が広がっている 「うわー、キレイ」 「なぁ、あそこに座ろうーぜ」 ベンチがあるので、座る 私は海に見惚れていた 「俺より海かー」 「え?」 疾風の方に振り返ると、突然キスをされてしまう 抵抗するが離してくれない 「…は…疾風…息苦しい!」 やっと離してくれたけど、顔が近いから見れなくてドキドキする 「ごめん、抑え効かなくて… でも一緒にいたいんだ お前が居なくなってからお前の親も挨拶しても無視されてさ、中学、高校の友達とか色々聞いたらさ、俺の知らない所で酷い事されてたらしいな…」 「…疾風、今私はやっと誰も知ってる人がいない所でうまく生活してんの 昔の事はもう思い出したくないし、疾風とはもう付き合いたくない」 本当は一緒にいたい… いたいけど、一緒にいるが為にまた傷付く事が怖くて強がる言葉を出してしまう でも強がる言葉と裏腹に表の感情は全く違う動作をしてしまう… 「じゃあ、どうして泣いてる?」 疾風に言われてビックリする 「泣いてない… ただ…ただ…ゴミが………」 突然溢れ出た涙に感情が抑えられなくて、疾風の前で大泣きしてしまう 疾風はそんな私でも抱き寄せて頭を撫でる 「ごめんな… 辛かったよな… 思い出させてごめん…」 また更に感情剥き出し状態で泣いてしまう しばらくして落ち着いて、私は全て話をした 「本当は疾風にも相談したかった でも疾風は色々忙しそうだったし、私も言い出せなくていた もっとら早く疾風にも相談してたらあんな事にはならなかった…」 <あんな事>とは疾風に好意をもった女子生徒が男友達を数人呼んで私を襲った事… 所謂…レイプまがいな事が起きた…… 運良く、通り掛かりの同じ高校の部活動帰りの同級生数人が見ていたらしく、助けてくれて事無きを得た 同級生に家まで送って頂いて、母親に事情を説明してくれた 母親はショックを受けて、2人で泣いた そして母親から父親にも話され、疾風が悪いって話になりそうになったが、私は絶対にこの事を疾風には話さないで欲しいって懇願した その出来事があってから私は疾風にも会いたく無くなった 毎日の様に疾風と会ってたらまた襲われる 家族まで手を出してきたらどうしよう… 不安でたまらなかった 疾風と会わない様に学校を早く登校 廊下ですれ違っても挨拶だけ 昼時間も1人になれる所を探して弁当を食べる そんな生活を約半年続けた 卒業してから、私は完全に疾風から逃げて私の事を誰も知らない東京へと逃げる様に上京した そして現在に至る それまでの経緯を話して、私は心のモヤモヤがスッキリしてしまった 「疾風…お腹空いた…」 「何食べたい?」 「おいしい、お肉食べたい…今日だけ思いっきり疾風に甘えてもいい? 全部疾風の奢りね」 「…しょうがねーな かわいいから奢るよ」 「付き合うか付き合わないかちょっと考えてもいい?」 「結奈のタイミングでいい」 「ありがとう」 完全に疾風にやられてしまった やっぱり私は疾風が好きだ でも、過去の事を思い出すと一歩が踏み切れないのが悔しい もどかしさを感じながら、車に乗り疾風のオススメの店に向けて走り出す
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