第2章 弱い心

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しばらく経って、残業が終わった結奈が休憩室に来た 「おまたせ、ごめんね」 「全然いーよー」 2人でエレベーターの前に行き、来るのを待っていると今日来た営業部長と大和が一緒に来た 私は大和と一緒になるのが嫌で、結奈を女子トイレに連れて行く そして結奈に今までの事とお見合いの話も軽く話す 結奈はお互い話さないと分からないとは言うけど、もう私からはどう切り出していいか分からない状態だった しばらくして、2人がいないのを確認してエレベーターで1階へ降りる するとまたこの2人がいて、私は逃げる様に結奈の腕を取って会社を出る とにかく早く飲んで鬱憤を晴らしたかった 居酒屋について、生ビールを頼む そこから結奈に色々話をぶちまけて、何杯飲んだか分からなくて… 目覚めた時は、自分の家にいた 「……う、うーん……なんで?……」 「気付いたか?」 「…大和?」 目を開けた瞬間、ボヤけていた顔がだんだん鮮明に見えて来て恥ずかしくて大和とは逆の方向に向く 「…なんで?」 「溝口さんがタクシーで美優の家まで送ってくれたんだ それからは俺が面倒見るって言ってバトンタッチした」 「ふーん…」 大和がいる事が嬉しいのに素っ気ない返事しか出来ない… 私の頭をずっと撫でてくれる大和に私は言ってしまった 「大和…私疲れちゃった… 大和はさ、モテるから私よりいい人すぐ見つかるからさ… 我慢してまで私と付き合わなくていいよ… 別れよ…」 「はぁ?我慢して付き合ってねーよ… 水持ってくる」 キッチンに向かい、コップに水を入れてまた私の所に戻って来る 「水飲めよ」 「置いといて… もう私大丈夫だから… 帰って…」 「こんな状態のままで帰れないだろ」 「…もうほっといて 今は1人でいたいの…」 「…分かった…」 足音が遠のき、玄関のドアの鍵を閉める音が聞こえる 『本当に帰っちゃった…』 涙がスーッと流れてしまう そのまま寝てしまい、気付けば朝になっていた 起きると、大和がコートを着たままベットに縋って寝ていた 手元にはレジ袋があり、栄養ドリンクやスポーツドリンク、サプリメントやスイーツが入っていた 「ふふ… こんな事今までされた事も無いのに…」 起き上がり、寝ている大和の向かいに座る やっぱり大和がいい… でも大和との将来は見えない… 大好きだけど将来の見えない人と一緒に過ごすか、今から出会う将来が見える人と一緒に過ごすか悩む… キッチンに行き、コップ1杯分の水を飲む 今日は私も大和も仕事が休みだし、久々にカップルらしい事しようと朝食を作る うるさくしないようにキッチンと部屋の間のドアを閉める トーストとスクランブルエッグとサラダ そしてコーヒーを用意して、部屋のテーブルに持って行き、寝ている大和を起こす 「大和、大和! 朝ごはん作ったから食べて」 「……うーん…… あれ…?美優、大丈夫?」 「あー…うん、昨日はなんか飲みすぎちゃって…恥ずかしい所見せちゃった… 朝ごはん作ったから食べよ」 「…ああ」 「いただきまーす」 「…いただきます」 「大和は今日予定ある?」 「ない」 「ふーん、じゃあ食べたらすぐ帰る?」 「…なぁ、前の事気にしてる?」 「前の事って?」 「……女と寝てた事…」 「…あー…あれね、もういーよ」 「前日仕事の関係で飲み会があったんだ 飲み会が終わった後、一人でバーに行った時、元カノと出会って… そこから記憶が残ってないくらい飲んだみたいで… 気付いたら一緒に寝てた… でも何も無かったんだ 彼女はただ俺の部屋のベッドに運んでくれただけで後は疲れて寝てしまったって言ってた 信じてくれ…」 「…ねぇ、大和」 「ん?」 「大和はさ… 何で私と付き合おうと思った? 私は大和の事大好きだよ やっと好きな人の側にいれると思った だんだん、将来の夢まで見ちゃう様になって… でも大和は何もしてくれないし、言ってもくれない… そしてもう5年、6年経っちゃった… 最近、喧嘩も増えたじゃん もう疲れちゃって…」 昨夜泣き過ぎたせいで、涙も出ない もう半笑いの様な状態で話す すると大和がテーブルに置いていたアルバムに手を伸ばす 「あ!それ見ちゃダメ!」 言っても遅い… 大和にお見合いの相手の写真を見られてしまう 「…これ、何?」 「……あはは 私もいい年だからって事でお母さんがね、この人どうか?って」 「行くのか?」 「…さぁ、どーでしょー? 大和には関係ないから言わなーい」 「お前なぁ、いい加減にしろよ!」 「……」 しばらく無言になる でも私は大和の言い方にムカついていた 「……何で? 私が責められなきゃ行けないの? 大和はいつも私からじゃないとメールも電話もしてくれない 大和からなんてほとんどなかった 告白も私から… 大和の口から「好き」って言われた事もない 将来の話も出ない 付き合ってるかどうかさえも分からない… もうこんな状態ならどんなに好きであっても私には耐えられない だから色々考えるんじゃない!!」 「俺が一番悪いのは分かってる 美優をここまで悩ませてしまった事、俺がはっきりしてない事も でもな、俺は美優しか見てない 美優が好きだ… だから側にいたいし、側にいてほしい」 「……嘘だ そんなの今言われたって私信じられないよ…」 私はそう言って食べ終わった食器をキッチンに持って行く 「じゃあ、何があれば俺の事信じられる?」 大和が聞く 私は冗談のつもりで言った事が本当の事になるとは夢にも思って無かった 「セレブがしてる様な婚約指輪を持って来てくれるのなら信じてもいいかなぁ? ハリー○○ンストンの100万はする様な指輪」 「分かった」 大和はそう言って私の家から出て行った それからは1人でテレビ見ながら大和が買って来てくれたものをつまみながら寛ぐ 「1人が楽だなぁー…」 独り言を呟く テレビや動画を見てるといつの間にか夜になっていた 「夕食でも作るか…」 冷蔵庫の中にあるものと昨日届いた実家の野菜で何が作れるか確認をする 「野菜炒めでも作ろーっと」 作るのが面倒だったので簡単なものにしよーと色々物色していると、玄関のドアを開ける音がした 『ガチャガチャ』 一瞬ビックリしたが、合鍵を渡しているのは大和しかいないので普通にしている私 大和が昨日の格好のまま、戻ってきた 「大和、どうしたの? なんか急用? 忘れ物でもした?」 「何か用が無いと恋人の家に来ちゃいけないのか?」 「珍しい… 大和から「恋人」って言うなんて 今から夕食作るから食べて帰る?」 私が野菜達を物色している後ろから大和が包み込む様に抱き寄せる 「…ちょ、ちょっと大和… どうしたの?」 「…美優の事、好きだ …愛してる」 「ちょっといきなりどうしたの?」 「美優、お前の為にこれ買ってきたんだ 着けてもいいか?」 目の前にお洒落な紙袋を持っている 「……大和…… これって……… まさか!本気で買ってきたの!?」 「…あー、もうここまでやったら後には引けないぞ」 「……あれは冗談で言ったんだって… ねぇ、これ今から一緒に行って返却しよ?ね?」 一旦、大和から離れる 「…ちょっとしばらく考える時間が欲しい… だってこんなん今すぐ受け取れないよ…」 「分かった… 来週の日曜日まで返事待ってる 気持ちが俺にあるのならそれ持って俺の所に来て欲しい」 そう言って大和は私の家から出て行った
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