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第一話 海で寝る、繰り返し。
あたしたちは毎朝浜辺で生まれる。あんまりたくさん生まれるから、あたしたちがどれくらいいるのか、一日でどれくらい殖えているのかしらない。きっと数なんてどうでもいいことだ。
あたしたちは日中、砂の中にとけこんだり、人間の足に貼りついたりしてすごす。時にはおっかないアスファルトの上に乗ってみたりする。大きな回転する何かに踏まれるのが好きだというのは少数派だ。でもあたしたちの誰も、昼間は海には入らない。空気に飛ばされるあぶない遊びをする子も、海の上にだけはいかないように気を付けている。
昼間遠く強く光を放っていたお日さまが、空ににじんでとけそうになる頃、あたしたちはすこうしずつ海に近づいていく。体のさきっぽを少しだけ水にひたしてみてすぐにひっこめる。それを何度か繰り返して、ころあいが良くなったら体を海に滑らせる。
おやすみ。おやすみ。あたしたちは消えていく。でも夜が明けたらまた会おうね。あたしたちみんな、別のあたしたちになっても。
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