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そして翌日。
「下僕、いい加減に草刈りしなさいよ」
礼拝堂の日向でうたた寝する俺の前で、高杜さんが腰に手を当てて立ち、呆れ顔で言った。
「ああまぁ、そうですね。もう少し温かくなったら・・・・・・」
「十分温かいでしょ。蛇が動いているんだもの」
ちょっと、思わぬ生き物の名前が高杜さんの口から発せられた。
「蛇?」
「そうよ。あなたが草刈りしないから、裏の草むらにたくさんいたわよ」
「・・・・・・もしかして、この間の?」
「ええそう。裏の草むらにいたマムシ。沢山いたから、お酒にも漬けてみたけど・・・・・・飲む?」
マムシは血液毒成分と神経毒成分が含まれ、皮には解毒、攻毒・強壮の効能がある。配合すれば、健忘症(ボケのこと)やうつ病などの放心状態、夜尿症にも効き、東の島国では疲労回復や冷え性改善にも用いられているが・・・・・・。
一体高杜さんは、何を基準に食材をチョイスしているのか。
猫と同じく調達しやすいものを出している、ということは、あるにはあるだろうが、猫は有毒生物ではない。であれば、やっぱり何か、有毒生物ばかりを捕まえ食卓にのせてくる理由があるはずだ。
俺の中で、謎は更に深まった。
Fin.
(2020年2月27日)
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