天国へ誘う本

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毎日に、充実感を感じず。 ただ流れ作業のように過ぎる人生に 諦めと皮肉を添えて過ごしていた頃だった。 毎日重たいため息が、身体中に圧し掛かる。 時々走馬灯の様に、頭を巡る 過去に経験した充実した瞬間が、 なんとも言えぬ寂寥感(せきりょうかん)が、 胸を締め付ける。 あの頃は、良かった。 充実していた。はずだった。 この気持ちを誤魔化そうと、身体は自然と 一人ショッピングモールに迷い込んでいた。 辺りは、暗闇と真っ赤な夕焼けが入り混じっており それを温かく照らすようにイルミネーションの光がショッピングモールを照らす。 その明かりがまたいつも以上に眩しく 一人と言う孤独の僕を照らし出す。 そのせいか。色んな店を回るも、まるで心踊るような物に 巡り会えず、只々閉店の時間が、迫るだけだ。 焦りながら辿り着いたのは、普通の本屋さんだった。 閉店前と言う事もあり、従業員の人達の何人かは、 清掃を始め、レジにはたった一人の女性スタッフ。 周りも、慌てながら欲しい物を手に取る人達。 時計を見ると、閉店まで残り10分を切っていた。 一通り店内を軽く回って、欲しい物が見つかれば、 いや今の気持ちを軽く和らげてくれる物さえ 見つかればすぐにでも出ようとした時だった。 その時だった。ふと目に入ったのは ぽつんと、本棚に並べられた半透明な一冊。
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