寒くて白い

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 ぼくはスッと立ち上がり素早く玄関へと走った。母が廊下に向かうドアを開ける。 玄関前にはぼくの親友がいた。新年の挨拶に来たのだろうか、服装はやはり全身白に染められた上下の出立をしていた。おそらくはもっと別の色なのだろうが、何もかもが白く見えるぼくにとっては上下白の死装束にしか見えない。 「よぉ! 新年あけましておめでとう! 今年も宜しく!」 「よぉ、今日も元気だね。」 親友はぼくの肩をぽんぽんと叩いた。スキンシップは嫌ではないが、珍しいな。ぼくがそんなことを考えていると、親友と両親は何やら話し込んでいた。 「これ、本買うのに使って」 「いえ、こういうつもりじゃ」 ちきしょう、あいつにはお年玉を上げるのかよ。ぼくは益々陰鬱な気分になり歯をギリギリと噛み締め怒りを露わにした。あんな年賀状もくれない薄情者にやるお年玉なんてやるんじゃねえよ。 お年玉を受け取った親友がどの面下げてかぼくに言い出した。 「散歩行こうか?」 誰がテメェなんかと。何でこんな空気も冷え冷えするような中、男二人で散歩しなきゃいけないんだ。と、思っている間にぼくは首に細いマフラーを巻かれて外に連れ出されてしまった。全く、なんて正月だ。人生最低最悪の正月だよ。
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