メリーグレイス、あるいはケモノの耳をもつ戦乙女

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 信一が目を覚ますと、ベットにメリーグレイスの姿はなかった。 「……夢だったのか。そう、か……そうだよな。喉乾いた……今何時だ?」  そんな寝起きの鈍い思考は、真っ二つになったスマホを見るなり吹き飛んだ。よく見れば、ブティックの紙袋も部屋の隅に立てかけてある。激しい焦燥感に突き動かされた信一は、毛布をはねのけ、ベットから飛び出してドアノブに手を伸ばす。  ドアが独りでに開かれた。  信一の勢いはそのままに、メリーグレイスの豊満に埋まってしまう。 「あ……ご、ごめん!」 「エダ! ステータス異常『クウフク』です! 私、お団子いっぱい食べたいです‼」 「お団子だけじゃダメだよ……じゃあ、ちょっと留守番しててくれる?」 「『ルスバン』ってなんですか?」 「……あー、そっか。留守番って言っただけじゃ解らないもんな。ええと、じゃあ……こう言い換えればいいかな……僕が帰ってくるまで、ここを護っていてくれないか」
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