白いくしゃくしゃ

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 目が醒めたら──白。  あの人の使った白いくしゃくしゃがぽつんと目に止まった。  くしゃくしゃは拭き取るためのもの。  もぐもぐしているほっぺ。口のまわりについてるよ。何するの?ちょっと。ぺろっと舐めとったら顔がによによしてた。こっちにもによによがうつる。おさらに乗っているものよりおいしい。  さむい。さむくないよ。昨日あんなところで寝るからでしょ。優しくして。鼻風邪っぽかったので手を繋いだまま薬を買いに一緒に行った。手があったかい。さっきさむいさむくないの話してたのに。ぽかぽかだ。  もうやだ。キライ。はあ何それ?こっちの科白だし。バーカバーカ死んじまえ!おとなげなくぽこぽこ物を投げあったら、ぶつかって痛そうにしてた。痛かった。雪合戦みたいには行かなかった。ぜんぜん楽しくなかった。  ああ、だからなのかな。  ぽつんとある白いくしゃくしゃは君がいればくしゃくしゃにはならなかったんだ。  くしゃくしゃは何だか寂しそうにしてる。  ごめんね。  今日は素直になれるかな。  そうしたらくしゃくしゃになった心は真っ白に戻るんだ。  やっぱり君が好きだって。    *
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