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「ご苦労様……今回の件は近隣にある感染症研究所でのテロで発生したバイオハザードによって誕生した複数の小型怪獣の駆逐として片づけられた……報道も心配するな……それじゃ後で」
その通話が切れると共に、私の任務は終わった。
今乗っているセダンの後部座席から、私は外を眺めた。登山道の入り口付近にある広場で軍の特殊部隊の兵士達がせわしなく動き回り、その人混みの中をかき分けるように濃緑のシートにくるまれた裏切り者、いや人間だったモノが運ばれていった。
軍と政治家との癒着を暴く正義の味方を気取る勇敢さと、美人の女性にはコロッと靡いてしまうような『オトコって、バカ』を体現するその男を、私は思い出していた。今回の任務があまりにも簡単に終わった事で、手応えを感じられなかった。
まあ、別にいいか……私はそう言い聞かせつつ、前の運転席にいる部下に指示した。
「出して……東京に戻るわよ」
「はい」
END
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