怨念

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「何だよ、ドブスの紗栄子。 何しに教室に来たんだよ」 昭仁はいつものように私をからかってきましたが、私は昭仁の言葉を無視しました。 私は昭仁の言葉を気にしない、昭仁の言葉に気持ちを動かされない。 自分にそう言い聞かせて、私は自分が石にでもなったつもりで、昭仁の言葉に耳をふさいでいたのです。 「紗栄子のくせに無視すんなよ。 ブスだからって顔を伏せんな」 机から忘れ物を取ると、私は昭仁に背を向け、逃げるように教室を出ようとしていました。 でも、そんな私に昭仁は追い打ちをかけるように言ってきたのです。 「俺は紗栄子でなくて良かった。 バカでグズなくせに、顔までブスじゃ生きてたって仕方がないよな」 そう言ったあとに昭仁がせせら笑っているのが、私の耳に届きました。 そのとき、私の中で何かが音を立てて壊れたのです。 私が瞳に憎しみを宿しながら、昭仁の方を振り返ったとき、昭仁は教室からベランダへと出ていくところでした。 それを見た私は我を忘れ、無意識のうちに昭仁のあとを追いかけていたのです。
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