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──それを、寂しいとか感じたことは、特にはないが……
ここでまた、ふっと、同じ母を持つ、弟の夕輝のことが思い浮かんだ。
夕輝は、もしかしたら──母性に対する憧れが、強くあったのかもしれない。
女というものに、何故か愛着を持っている。あれは、性癖と言うよりは──そういうことだったのかもしれない……。
「だい……さま……大輝、様」
声と振動に揺さぶられ、大輝は現実へと戻った。束の間、夢現の様な空間に嵌まっていたらしい……
唯央に、いつの間にか押し倒されていた。蛍光灯が後ろで遠慮なく光っている。
「……ああ、少し、眠っていた、か?」
「やっぱり、お疲れですよね……今日は、もう」
唯央は、最後にと言わんばかり、自分の体奥に大輝のものを押しつけた。強く、数回も──
「唯央、無理なことをするな。中が、おかしなことになるぞ」
「……これぐらい、大丈夫、です。もっと強く……壊れてもいいぐらい」
「それは困る、私も中にいるんだぞ」
「──っ、大輝様……っ」
いま、繋がれる場所の──最奥で、更に結合したい衝動に駆られる。
どちらが自分達の身を燃やし、動かしているのか、最早わからなくなっていた──…
「はぁ、ああ、ああん、大輝様……」
「唯央……もっと、奥まで────」
「大輝さま……」
西の『武族』の王がいまは静かに横たわっている巨塔に、生命の律動が逆巻き、響いていた。
今夜、ここから生まれるものは──この世界の一片を照らす、輝きになるのかもしれない……
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