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島国・日本は、海外諸国からの防衛の為、国民の過半数が男性であり、その殆どは『武族』という、進化を遂げていた──。
日本人の約七割である『武族』は、α、β、Ωの三種類から成っている。
頂点にいるのは、極めて優秀な身体知能を持ち、国の防衛と経済を牽引する、α。
次いで人口の大多数であるβは、文武共に一般的。個々によって差があり──子供を産める者と、そうでない者の差もある。
戦いの歴史の中で、強い者はより強く、αと呼ばれる域にまで達し、逆に弱い者は──生殖に存在意義を見出した。
戦闘のできる男でありながら、状況次第で子供も孕める体の者が、増えていったのだ。
例えば、βだけの兵団が五人以下になると、生存本能が強くなる者と、生殖機能が顕著になる者とに分かれ、全滅を防ぐ。
こうして生まれる子供は全員が男で、α、β、Ωのいずれかである。
その中で、生殖機能が飛躍的に進化したのがΩだ。
生まれ持つ容姿は、通常の女性よりも美しく、男を魅惑する能力に長けているとされる。
が、その個体数は少ない。出生バランス的に、絶対必要でもないからだ。
一方、日本古来の、男女で血筋をつなげている日本人が、『公族』である。
彼・彼女らが暮らすエリアは『真日本』と呼ばれ、『首都』も、列島の中心、真日本にある。
そこに『武族』は、容易に入ることはできない。
逆に、『公族』の女性は、『武族』の都の保護区なら出入り出来、中には仕事をする者もいる。
だが、真日本人男性と結婚し、出産する存在として、厳重に守られる。
『武族』のΩもまた──出産することを生業、存在意義とする。
実は、Ωから生まれる子供は、αの出生率が高い。
その為、Ωと認められた者は、『真日本』に置かれた特別施設にて保護される。
即ち、『公』『武』の混合繁栄を忌避しているのだ。
古来からの伝統を守りつつ、繁栄と武装国家であることも重要。
その両立を果たせているからこそ、現在の文明発達国・日本がある──
何処か息苦しさを感じながらも、強固な檻の中は平和だ。
この国の制度を揺るがそうとする愚かな国民は、いない。
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