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次の日、学校で満面の笑みの呉にいきなり頭を叩かれた。
「ちょっっ!何するんだよ!」
「おう、今日も変わらずチビだな!」
………なんだ?
呉が、昨日と同じく口が悪い。
少女漫画の優しい素敵イケメンにキャラチェンジするんじゃなかったのか?
しかも、まるでいつも言ってるみたいな口ぶりだけど、コイツにチビとか言われるの初めてだし。
「呉、少女漫画はどうなったんだよ」
「ふふん!しっかり調べたぞ。今日からバッチリ少女漫画風でいくからな」
「はぁ?どこがっ!全然優しくないし」
「当たり前だ。最初にヒロインに優しくする男は当て馬って決まってんだよ。俺は三次の本命だから、ドS王子サマとしてビシバシ行くぞ」
「…………………それは……やめてくれ」
オラオラ系からドSへのマイナーチェンジとかいらない!
「なんでだよ!一晩かけて猛勉強したんだぞ。その成果を楽しみにしてろよ、子猫ちゃん」
人差し指で額をズン……と突かれた。
くっ…………痛てぇよ。お前の突きは全然少女漫画じゃない!
「ふっ。おデコが赤くなってるぞ。ホント三次は可愛いな」
…………ああ。
これまでにはなかった、甘い甘い視線。
オレの事、ちゃんと好きでいてくれてる風ではあるんだよなぁ………………。
すっごい優しく頭なでてくれるし。
ふぅ……。
これは。
呉に『キラキラな思い出』となるような告白をしてもらえるまで、間違いなく前途多難だな……。
《終》
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