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「なんだ無事だったんだな。」
俺がそう返すと柊の表情がさらに暗く、鋭くなる。
「なぜ、あんなことをした?
おまえなら分かっているはずだ。
成功しても失敗しても危険であることを。
ナツメにとって何のメリットもないことを。」
「そうだな……。
だけど、メリットはある。依頼料が入る。」
柊から視線を逸らしながら応える。
すると、柊がこちらに近づいてくる気配がした。
ベッドが沈み、視線を戻すとすぐそばにまで柊は来ていた。
「嘘だな。そんなのは些細なものだ。
そうだろ? 高額な依頼料でありながらあんなにも多くの顧客を抱えているんだ。
たった一つの依頼の依頼料くらいおまえにとっては微々たるもののはずだ。」
俺は柊から視線を逸らすことができなかった。
「ナツメ。おまえは何に怯えている?
何が不安なんだ?」
柊の問いは今の俺の心の状態を正確についていた。
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