『ある日の会話』

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「由紀・・・どうして俺が 裁縫道具をもっていないか、知ってるか?」 「・・・そっかぁ・・・。」 彼女は安心したように、体全体を俺に預けた。 それはいわゆる『衝動』というものに類似しているかもしれないし、何らかの叫びの体現化かもしれない。 それこそが 二人が分かち合うきっかけだったのかもしれないし 俺が彼女に惹かれた一番の要因なのかもしれない。 いつ  どのようなきっかけで  『ばけもの』は住み着くか分からない。 その『ばけもの』は、時に手がつけられなくなり、暴走しがちである。 俺は由紀の過去に何があったかは、まだ知らないし 由紀も俺の過去に何があったかは、知らないだろう。 こんなに愛しい由紀が『ばけもの』によって襲われそうになったときは 命をかけて彼女を守ろうと思うし 俺の中の『ばけもの』に乗っ取られないよう 俺を守ろうと思う。 ーーーさて この『ばけもの』を飼っているのは 俺たちだけだろうか?
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