目が覚めたら…神

2/2
前へ
/12ページ
次へ
晩ごはんは暖炉の前でみんなで食べた。 隣がメキシコだからなのか、タコスだ。 「わーいタコスだ!」とはならないタコスだ。 女子会でタコスを作り、インスタで「タコス作りましたー」と写真をアップしてイイネが貰える程度の食べ物。 「今日はタコパ」の俺のtweet程度だ。 そして鱈のチャウダー。 引っ越し前にダラスについて調べた。 ケネディ大統領が暗殺された地だった。 そのケネディ大統領の好物が鱈のチャウダーだったらしい。 google先生が教えてくれた事だけど、母がgoogle先生を知っているとは思えなかったし、知っていてもチャウダーに辿り着くとは思えなかった。 暖炉で弾ける薪の音が唯一の環境音。 1924年のアメリカはテレビも放送されていたけど、我が家にはまだ無い。 地上波対応のテレビでは無かったから、母がセカストに80円で売ったからではなく、コンセントが無いからだ。 我が家はコンセントが無い。 「コンセントが無いからな」とアパマンで契約を終えてきた父が言った時、どうやってスマホの充電をしようか悩んだものの、充電しても意味が無いことに気づいて悩むのを止めた。 何もやることが無くて(正しくは、何も出来ることが無く)、静かな時が訪れたらやることは一つしかない。 寝ることだ。 飯食う。音は無い。日は落ちた。やることない。 まだ8時前だけど寝る。 まだ8時なのに寝る!のは人間本来の生き方でいいと思う。 ぺこぱならそう褒めてくれそうだ。 寝る。 屋根裏で寝る。 意外と落ち着く。 寝る。 神が寝息を立てそうな静けさに耳が痛い。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加