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晩ごはんは暖炉の前でみんなで食べた。
隣がメキシコだからなのか、タコスだ。
「わーいタコスだ!」とはならないタコスだ。
女子会でタコスを作り、インスタで「タコス作りましたー」と写真をアップしてイイネが貰える程度の食べ物。
「今日はタコパ」の俺のtweet程度だ。
そして鱈のチャウダー。
引っ越し前にダラスについて調べた。
ケネディ大統領が暗殺された地だった。
そのケネディ大統領の好物が鱈のチャウダーだったらしい。
google先生が教えてくれた事だけど、母がgoogle先生を知っているとは思えなかったし、知っていてもチャウダーに辿り着くとは思えなかった。
暖炉で弾ける薪の音が唯一の環境音。
1924年のアメリカはテレビも放送されていたけど、我が家にはまだ無い。
地上波対応のテレビでは無かったから、母がセカストに80円で売ったからではなく、コンセントが無いからだ。
我が家はコンセントが無い。
「コンセントが無いからな」とアパマンで契約を終えてきた父が言った時、どうやってスマホの充電をしようか悩んだものの、充電しても意味が無いことに気づいて悩むのを止めた。
何もやることが無くて(正しくは、何も出来ることが無く)、静かな時が訪れたらやることは一つしかない。
寝ることだ。
飯食う。音は無い。日は落ちた。やることない。
まだ8時前だけど寝る。
まだ8時なのに寝る!のは人間本来の生き方でいいと思う。
ぺこぱならそう褒めてくれそうだ。
寝る。
屋根裏で寝る。
意外と落ち着く。
寝る。
神が寝息を立てそうな静けさに耳が痛い。
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