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「逃げ切れ!」
だが、無情にも敵に回り込まれてしまう。
「あっ!!」
──冬将軍の攻撃!
──たかひろは25のダメージを受けた!
──あなたは死にました
「やられた~!」
俺はおもわず天を仰いだ。
画面が切り替わり、スタート地点だった森の中に戻されていた。
大木の前にいる精霊王が、主人公──つまり俺──に言う。
──おお、たかひろよ。死んでしまうとは何事だ。
お決まりの台詞が表示され、俺は「はあっ」と溜め息をついた。
「しょうがないじゃん。気が付いたら瀕死になってたんだし」
俺がそう言うと、次の台詞が表示された。
「えっ?」
俺は目を疑った。
そこには、まるで冗談のような言葉が綴られいたのだ。
──たかひろよ。手に入れた装備品はちゃんと装備していたか? その季節にあった格好をしていないと、生命力を奪われるぞ
「それを先に言ってくれよ~」
無駄だと分かっていても、つい文句を言ってしまう。
「あーあ、良いところまで行ってたのに。続けるかどうするか迷うなあ。お金半分に減らされたし。セーブしてないし」
ぶつぶつ言いながらも、また最初からやってやろうとリセットを押す。
タイトル画面が流れ、再び名前入力をする。
そして、あの大木の前にやってきた。
──行け、たかひろよ。大魔人を倒し、4つの季節を守るのだ
「はいはい。分かってるって。つーか、この時に説明してくれればいいじゃん」
そんなことを言いながら、脇にいる妖精に話しかける。
──手に入れた装備品はきちんと装備してくださいね。
「あっ、言ってた」
1回目にやった時も話し掛けたはずだが、そんなに重要な台詞じゃないと思って忘れていたようだ。
「精霊王さま、文句言ってごめんなさい。これからは、ちゃんと装備品を装備します」
◆◆◆おわり◆◆◆
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