友達以上

2/3
175人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
 飲み物を買って戻ってきた2人は、隣の空いたテーブルを寄せて4人がけの席にすると、2人並んで座った。 私は意味が分からななくて、2人を交互に眺める。 「実は、仁科(にしな)にはちゃんと紹介したくて…  俺、先週から、原課長と付き合ってるんだ」 え? 「ごめんなさい、仁科さん。  上司のこんな話、聞かされた方が迷惑だと  思うんだけど、陸がどうしても親友の  仁科さんには直接伝えたいって言うから」 陸……って呼ぶんだ。 憧れの原課長。 美人で仕事ができてかっこいい上司。 うちの部、唯一の女性課長。 なんで? 私はありえない現実を受け止めきれなくて、ぼんやりとその後の会話を聞く。  30分ほどコーヒーを飲んで、他愛もない話をすると、陸は言った。 「じゃあ、もう俺は仁科とは映画  行けないから、仁科も早く一緒に映画に  行ってくれるいい男見つけろよ」 「……うん、そうだね」 私は思ってもいないのに、肯定の相槌を打つ。 そして、これから映画デートに行くという2人をこわばった笑顔で見送った。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!