手編みのマフラー

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「何を編んでるの?」 暑さも和らいだ10月初旬の土曜日の朝、僕がリビングのソファーで編み物をしている妻の『紗衣(さえ)』に声をかけると、 「あ、起きた?  これあなたのマフラー!」 と紗衣は嬉しそうな笑顔で答えてくれた。 僕の会社は土曜日日曜日が休みで、紗衣も今日はパートが休みだった。 「朝食、用意するね!」 紗衣はソファーに編みかけのマフラーを置いて台所に立った。 「簡単なものでいいよ!」 僕があまり紗衣の手を煩わせまいと声をかけると、 「じゃぁ、パンでいい?」 と言ってきたので、 「いいよ!」 と僕は答えた。 「瑠夏は部活?」 僕が娘の『瑠夏(るか)』のことを紗衣に聞くと、 「うん、そうだよ!  最近、テニスの大会が近いから朝練やってるみたいで、朝早く家を出るのよ!」 と紗衣は瑠夏の近況を話してくれた。 「そっか!」 僕は高校2年生の瑠夏が、部活に熱中するのはいいことだと考えていた。
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