手編みのマフラー

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少しすると警察官が来て、僕に事故の状況を説明してくれた。 「車はレッカー車で警察に運びました。  衝突したトラックは少しスピードを出しすぎていて、カーブを曲がり切れなかったようです。  また、運転手は少し睡魔にも襲われていたようで、ブレーキをかけても間に合わなかったようです。」 警察官は説明を終えると、落ち着いたら警察署に車を取りに来てほしいと言い残して帰っていった。 そうこうしているうちに、集中治療室から医師が出てきた。 「ご家族の方ですか?」 「はい、私は夫です。」 僕が立ち上がって答えると医師が紗衣の状況を教えてくれた。 「奥様ですが、大変残念ですがたった今、息を引き取りました。  頭を強く打たれたようで、脳内出血により治療が困難な状況で、手は尽くしたのですが助けることはできませんでした。」 僕は信じられない思いだったが、 「ありがとうございました。」 と医師にお礼を言った。 瑠夏は椅子に座って泣き崩れてしまった。 僕の目からも涙が溢れ出て止まらなかった。
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