手編みのマフラー

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49日の法要と納骨式が終わると、その夜瑠夏から話があると言われた。 いったい何の話だろうと想像していると、瑠夏が毛糸のマフラーを僕に手渡してきた。 「おとうさん、このマフラーはおかあさんからのプレゼントだよ!」 いったい何の話だろうと思いながらマフラーを見つめていると瑠夏が話しはじめた。 「おとうさん、おかあさんがおとうさんのマフラー手編みしていたの知ってる?」 僕は紗衣が交通事故に遭った当日の朝、編み物をしているのが僕のマフラーだということを紗衣から聞いたことを思い出した。 「でもあのマフラーは、まだ出来上がっていなかったと思うけど…」 僕が疑問に思って聞くと瑠夏が、 「うん、そうだよ!  その後は、私が続きを編んだんだよ!」 と答えを返してくれた. 僕はそのマフラーを眺めながら自分の気持ちが少し晴れたような感覚を覚えた。 「そうか、これはおかあさんからのプレゼントか…」 僕の発言を聞いた瑠夏が真剣な眼差しで僕に話をはじめた。 「おとうさん、おかあさんにとっておとうさんは、とても大切な人だよ!  だからあの時おかあさんはおとうさんを助けようとしてとっさに突き飛ばしたんだと思うよ!  もうおかあさんは帰ってこないけれど、今おかあさんに恩返しするとしたら、元気に頑張って生きていくことだと思う!」 瑠夏の言葉は、僕の胸に強く響いた。 また瑠夏が僕より大人びた話をする姿を見て、瑠夏はいつの間にか立派な大人に成長したと感じて嬉しかった。
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