手編みのマフラー

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「そうだね、いつまでもくよくよしていてはいけないね!  瑠夏、おとうさんに気付かせてくれてありがとう!  おとうさんは明日から会社に復帰して頑張るよ!」 この言葉を聞いた瑠夏は、目に涙を浮かべていた。 僕は翌日から会社に復帰した。 もちろん紗衣と瑠夏が編んでくれたマフラーを首に巻いて出社した。 会社の上司は僕の事情を理解してくれて、今まで通り一緒に仕事をしていこうと励ましてくれた。 瑠夏と僕は、家事を分担してお互いに助け合って何とか普段の生活を取り戻しつつあった。 瑠夏は4月に高校3年生に進級し、8月のテニスの大会を終えてテニス部を引退し、9月からは受験勉強を頑張っている。 きっと瑠夏は、おかあさんがいなくなって寂しいに違いないが、僕の前では元気に明るくふるまってくれている。 そんな瑠夏の姿を見て、僕も頑張らなければと思わされる。
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