雨の日に

皆さんは『雨の日の美樹ちゃん』っていう都市伝説を知っていますか？

強い雨が降る夜、誰もいない路地裏で美樹ちゃんという五歳の幼女がズボンやスカートのすそをつかんで、突然話しかけてくるらしいのです。

「ねぇ、お姉ちゃん。美樹も傘に入れてちょうだい」って……。

それで美樹ちゃんに話しかけられた人は、美樹ちゃんに呪われて不幸になると言うのです。

私はクラスメイトが言ったその話をただの噂話だと思い、笑いながら聞いていました。

この世に幽霊の類なんていないって、私は思っていたからです。

でも、今の私は『雨の日の美樹ちゃん』の存在を信じています。

なぜなら私は、あのただの都市伝説だと思っていた美樹ちゃんを本当に見てしまったのだから……。