マヤ

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マヤ

 音大のピアノ科に入学した直後、俺は女の子たちと仲良くなりたいという不純な動機で文芸部に入部した。  新入生歓迎会で、二つ先輩のマヤから声をかけられ、なぜか急速に接近され、特に好きかどうかもわからないうちに童貞を奪われて、なんとなく1年くらいは付き合っていた。マヤは美人だったので、一緒に歩いていると、たいていの男は羨ましそうに俺を見た。同級生の連中からは、 「どうやって彼女射止めたの?」 と聞かれたが、正直には答えられなかった。  俺は、どちらかと言えば地味で物静かな子がタイプだったが、マヤはピアノの腕も素晴らしく、華やかで男女問わず友達が多く、活動的な女性だった。  そんな彼女が、なぜ俺と付き合おうと思ったのか、俺はずっと疑問に感じていた。
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