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5.警視庁捜査一課
捜査一課の新崎隼人(しんざきはやと)はレストラン近くに停車したバンの中にいた。そこで、モニターを凝視していた。一瞬の出来事も見逃すまいとして。
「デカ長、これ、見てください」
「こ、これは、二課の朝倉じゃないか。いったい何があった」
モニター上には腹から惨たらしく血を流した朝倉の遺体が映し出されていた。
「仲間割れみたいです」
「大方、正体がばれて返り討ちにあったって所だろ」
「オレ、悔しいです」
新崎は湧き出る涙を堪え切れず、嗚咽していた。
「気持ちはわかる。お前と朝倉は同期だからなあ・・・」
「自分で仕掛けた隠しカメラと隠しマイクで自分の殺される姿が映されるとは、さぞ悔しかっただろう」
「そのおかげで奴らを検挙出来るのだ。殺人犯として、捜査一課としてな。不謹慎な言い方かも知れんが、もう二課の詐欺罪の域を超えている。
二課の谷崎は悔しがるだろうが、我々捜査一課で新崎の仇(かたき)を討つのだ」
デカ長の糸山は息巻いていた。拳を天に掲げて、そして号令を出した。
「いざ出陣」
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