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暗闇からの扉を開けると、眩いに包まれた。そこはまさに目覚めに感じる痛いほど眩しい真っ白な光の輝き。本来なら神々しい光の中で、誰しもが至福の時を感じる瞬間。でも、そんな思い込みの期待を低音の男の声が打ち破った。
「遅かったじゃないか、待ちわびたよ」
眩しいライトの下には、そのライトの光を巻き散らすかのような白衣を着た男性が二人。一人は髭面で長身の男、もう一人は中背の初老の男。そして、彼らの間にはベッドに寝かされた男性の姿が・・・。
「オ、オレ、吐きそうだ」
「どうした、トシ」
「あたま、あたま、ベッドの上の男の頭の上を見てみろ」
「頭が半分しかねえ・・・」
「そうだよ、脳を取り出した所だ。ここにね・・・」
髭面の男は取り出した脳を入れたカプセル容器を両手で持ち上げた。
意に反して宿主から半ば強制的に取り出され、見世物にされた脳は怒りに身を震わせているようにも感じられた。
「ふざけやがって・・・」
そんな声が耳元で囁いた気がした。
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