8.最後に漁夫の利を手にするのは・・・

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8.最後に漁夫の利を手にするのは・・・

 髭男は片手でベンツのハンドルを握り、もう片方の手でスクリーン映像を切ったスマホを握っていた。 「SF映画に見るホログラムとまではいきませんでしたが、上手くいきましたよね、所長」  後部座席に座っているはずの初老の男に話しかけるように呟いた。その直後、後頭部に冷たい銃口が押し付けられる感覚とカチッと言う音が耳に入った。背後から声が聞こえた。 「上手くはいってないはね・・・」 「お前には金を渡しただろう。忠告してやる。欲を出すと命を縮めるぞ」  言うが早いか、銃口を握る腕を掴んで、顔を後部座席に向けた。馬鹿な奴、そう言おうとして掴んだ腕を見て落胆した。彼が掴んだのは人参を掴んだマネキンの腕。そして、彼の眉間にはショットガンが突き付けられていた。 「動くと頭が一瞬で吹っ飛ぶわよ」 「お前は何者だ」  不意を突かれた髭男はお決まりのセリフを吐いた。
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